令和2年度 活動方針

法曹親和会の着実な前進のために

令和2年6月9日

法曹親和会幹事長 山中 尚邦

1 はじめに

法曹親和会は、会員相互の親睦を図るとともに、会員の総力を結集して、法曹親和会の綱領の実践につとめ、かつ弁護士活動の充実発展に寄与することを目的としています(会則第3条)。

この目的に基づいて、法曹親和会は、①意見照会に対する答申、政策提言などの政策立案と実践、政策綱領の作成、②弁護士会などへの人事の推薦、③会員の研修・啓発、④会員相互の親睦に関する活動を推し進めなければなりません。これに加えて、組織の活性化と拡充のために、会員の維持・増強などの組織強化を図らねばなりません。

他方、本年度中の新型コロナウイルス感染収束の見込みは立っていない状況にありますが、不要不急の会合の中止、ビデオ会議の活用、会合の少人数化、会合時間の短縮など密閉・密集・密接を避けるための様々な工夫を行いつつ、法曹親和会の様々な活動を着実に実行してゆきます。

2 令和2年度の具体的活動方針について

(1)司法制度・弁護士会等に関する政策の立案・実践のために

① 日弁連あるいは東弁では、死刑制度廃止問題、憲法改正問題、本人サポートを含む民事裁判手続のIT化、民事司法制度改革など司法制度を巡る諸課題と司法試験制度・貸与制世代の修習費用問題、東弁の会財政問題、新規登録会員の就業環境・若手会員の業務基盤の検討など弁護士・弁護士会を巡る諸課題に直面しています。

法曹親和会は、日弁連・東弁が抱えるこれらの諸課題について、会務委員会を中心に検討し、具体的な方針の提示を行います。

会務委員会の全体会議では、日弁連理事の理事会報告及び東弁理事者の会務報告を毎回行い、日弁連・東弁の議論状況の共有と意見交換を行うとともに、東弁からの各種諮問に対して、充実した議論を経て答申書を提出し、また、東弁執行部に対する新たな施策を提言することに努めます。

② 本年度も、会務委員会のもとに2部会・5PTを設置し、各部会・PTにおける個別の政策課題の検討を深めてゆきます。

刑事司法改革・裁判員裁判検討部会では、刑事司法に関する研修、死刑制度廃止問題の研究を行い、憲法問題PTでは、本年度も、外部にも公開された憲法問題に関する企画を実施いたします。男女共同参画PTでは、東弁の第3次男女共同参画基本計画に対する提案や、広く、ダイバーシティに関する問題の検討をいたします。東弁のあり方検討PTにおいては、現在検討中の研修制度に関する提言などを取りまとめて、東弁執行部に提言してゆきます。

民事司法改革PTと法曹養成制度改革実現PTにおいても、必要に応じ、新たな課題を検討し、それに対処いたします。

そして、政策綱領部会では、政策項目を見直した上、本年度1年間の諸政策の検討結果を、小冊子「重要課題と私たちの取組み」及び「WEB版政策綱領」として取りまとめ、令和3年1月の新年懇親会に発表いたします。

(2)適材適所の人事推薦のために

東弁・日弁連・関弁連その他外部団体等に対して、適切な人事の推薦を行うことは、東弁に1800名を超える会員を擁する会派としての使命ともいえます。各種の人事案件に関する情報などを早期に入手し、法曹親和会内の三派からの推薦に繋げてゆきます。特に、法曹親和会内の三派の協力を得て、女性会員の推薦に努めます。

本年度後半以降、法曹親和会内の三派からの推薦に基づき、次年度の東弁・日弁連・関弁連の役員人事に、適材適所の人材を推薦いたします。また、情勢によっては、次々年度日弁連会長問題への対処を検討いたします。司法研修所教官の推薦に関しては、平成28年度に設置された教官対策PTにおける取組を継続して、本年度内から、令和3年度の司法研修所教官推薦に向けて、地道に人材の発掘に努めてゆきます。

(3)会員の研修と業務の支援のために

新法・実務上の知識の習得・民事裁判のIT化など弁護士業務に必要な研修・啓発のために、研修委員会及び弁護士業務委員会の下で、民事・刑事の研修会・研究会を企画・開催し、研修を充実させてゆきます。研修会などの開催にあたっては、新型コロナウイルス対策として、テレビ会議による方法も検討いたします。

また、親和全期会とも緊密に連携し、不祥事防止、弁護士のライフプランなど若手会員にも有益なテーマによる研修も検討いたします。

(4)会内・会員同士の親睦のために

法曹親和会内の融和と情報交換及び会員間の相互理解と団結のために、本年度も、できうる範囲で、総会・委員会後などにおける親睦の機会を確保するよう努めます。

また、従来は、親睦企画として麻雀大会、ボーリング大会、観劇会が開催されてきたところ、本年度は、新型コロナウイルス対策を踏まえ、新しい企画を検討し、実施したいと考えます。

(5)広報による会内外への発信のために

法曹親和会の活動を内外に発表し、法曹親和会の存在感を高めるために、本年度も、法曹親和会ホームページを適時に更新して、会の内外へ向けた情報の発信に努めます。

法曹親和会の活動記録としても存在価値の高い雑誌「親和」を、発刊にかかる経費の節減に配慮しつつ、年度末での発刊を目指します。

(6)組織力の向上と活性化のために

法曹親和会内の三派の組織力の向上と活性化を推進し、ひいては、東弁のガバナンスを確立するために、本年度も、新規登録弁護士を対象とするクラス別研修の担当者への支援を継続いたします。また、新たに、親和全期会とも連携して、無派閥の東弁会員の入会を促進する方策を検討いたします。

3 法曹親和会の着実な前進のために

昨年度の法曹親和会は、東弁に冨田秀実会長と木村英明副会長・吉村誠副会長を送り出し、日弁連には、令和2年度令和3年度会長選挙で、荒中会長の実現に貢献し、事務総長に渕上玲子会員が就任されました。

令和2年度の法曹親和会は、東弁・日弁連の活動を支え、かつ、重要な役員の出身母体・支持母体として、責任をもって内外の重要課題に取組んでゆきます。新型コロナウイルス対策のために、法曹親和会の活動には様々な制約が生ずることも予想されますが、法曹親和会の活動を着実に前進させたいと考えます。