事務総長退任にあたって(回顧と展望)
平成21年度法曹親和会
事務総長 及川 健二
平成22年3月末日をもって親和会事務総長を退任しました。親和会の活動としては、政策活動、研修活動、親睦活動がありますし、弁護士会関係の人事に関する配慮も必要でした。その中での1年間は長いようでもあり、短いようでもあり・・・。しかしやはり長かったように思われました。
親和会の政策活動としては短期的政策、そして中期的・長期的政策が要求されることになりますが、短期的なものとしては、弁護士会などからの意見照会に対する回答が中心で、公訴時効の廃止延長問題の検討、修習生の給費制の問題、混合法人問題、日弁連代議員会のあり方問題、外国法事務弁護士の懲戒権問題、そして民法改正問題を検討してきました。中期的・長期的課題としては、会務活動の義務化問題、第二次地域司法計画策定の検討の他、弁護士人口の増加に伴う若手弁護士の就職問題がありました。特に、司法改革による弁護士人口の急激な増加は、業界の歪みとして現れ、日弁連会長選挙においては、司法試験合格者数の減員問題が政策課題にもなりました。今後は、これらの問題の基本となる「弁護士のアイデンティティとは何か」が問われることになります。社会にとって弁護士は何故必要なのか、弁護士は社会でどのような役割が期待されているのか、何故弁護士には他の隣接業種と別個な自治権、いわば特権が与えられているのかということを弁護士共通の認識とすることが必要不可欠と思われます。そこから弁護士人口問題の解決方向が見いだされるのではないかと思われます。
研修活動としては、民法改正問題を夏期合宿で集中的に行うと共に、今後の弁護士としての活動基盤を作り上げるための、弁護士のためのマネイジメントとマーケティング研修会を、新しい司法制度に対応するために、裁判員制度研修会、被害者参加制度研修会、民事法律扶助利用に関する研修会を、さらには女性会員のためのワーク・ライフ・バランスに関する研修会を行ってきました。今後も新しい司法制度に迅速に対応できるために、そして社会で要求されている制度の実践のための研修を行っていくことが親和会会員の為に必要不可欠と思われます。
親睦活動としては、ゴルフ大会、麻雀大会、ボーリング大会、テニス大会がありました。しかしながら親和会の総会兼懇親会への参加は未だ十分ではありませんでした。今後は会員に魅力ある親睦としての親和会総会兼懇親会のあり方の工夫とともに、会員の増加と趣味の多様化を考えると、更に幅広い企画が必要と思われます。囲碁、将棋、釣り、陶芸、野球、スキー、マラソン、フットサル、競馬、グルメ等も視野に入れることが考えられます。
人事問題としては、東京弁護士会の各種委員会への参加や、外部団体への委員派遣、講師派遣等は親和会の活性化の基礎になるものと思われます。そのためにも今後は、あらゆる人事の情報を的確に把握する組織体制を確立すると共に、優秀な親和会の会員を排出する体制の充実が必要でしょう。
本年度は日弁連会長問題という外交問題に多くの時間を取られたこともあり、いわゆる内政問題(親和会としての活動分野)への取り組みが十分ではなかったのではないかとの反省が有りました。今後は新しい執行部が新しい課題に果敢に挑戦される事を期待してやみません。新しい海へは新たらしい船で、新しい水夫が乗り込むべきでしょう。「老兵は消え去るのみ」というところでしょうか。
親和会の先生方には1年間暖かく見守っていただき有り難うございました。