平成28年度 活動の方針

平成28年5月17日

法曹親和会
幹事長 冨田 秀実

第1 本年度の活動の方針

法曹親和会の本年度の活動の方針としては、
活力ある強力な法曹親和会を創る
を課題(テーマ)として定め、その課題の下に、3つの具体的な活動方針を立て、それらの方針に沿って活動を行っていく考えであります。

 このような課題(テーマ)を定めた理由及び3つの具体的な活動方針について、以下に申し述べます。

第2 課題(テーマ)を定めた理由

1. 近時の弁護士および弁護士会を取り巻く環境は厳しさを増しつつあり、その中にあって弁護士会自治の危機が生じています。弁護士会自治は、国民の人権を擁護し社会正義を実現することを使命とする弁護士の職務の独立性を担保する制度的保障ともいえるものですが、それが弁護士会の内部や外部から揺さ振られている状況にあります。外部からの非難は、弁護士の不祥事や非行による懲戒問題を背景に国民の弁護士や弁護士会に対する不信から生じており、これに対する弁護士会における不祥事対策が重要な課題となっていますが、弁護士会の内部からも弁護士会自治の不要論が出ており、内部からの弁護士会自治の崩壊の危機も生じています。

このような弁護士会内部から弁護士会自治の不要論が生じる背景には、近年の急増する弁護士人口、特に新人弁護士の急増とともに司法修習期間が1年に短縮されて十分な研修を受けることができず、しかも就職難などによるO.J.T.の不足などから、新人弁護士にとっては、弁護士会自治の意義についての学習機会が十分ではなく、また同時に、会派に属さない弁護士の急増(東京弁護士会では2,000人を優に超える無所属会員の存在)や弁護士業務の多様化などと相俟って、弁護士会の存在意義や強制加入制度の意味についての理解が不足している会員が増加しているのではないか、と考えられます。

2. このような弁護士会の現状にあって、弁護士会内の会派の役割が益々重要なものとなっています。弁護士会内の会派は、会員間の互助や親睦を中心としながら、政策団体としての機能や研修団体としての機能そして人事推薦団体としての機能を持ち、毎年、司法問題や弁護士会の政策についての会務研究や政策の提言をするなど政策団体としての活動や会派の会員に対する様々な研修会を開催するなどの研修団体としての活動そして弁護士会の役員や理事、各種委員会の委員などを推薦し輩出するなど人事推薦団体としての活動を積極的にしています。また、最近では、東京弁護士会のクラス担任制やチューター制の担当者を会派から推薦して、新人弁護士の研修や教育に携わり、あるいは新人弁護士のO.J.T.の実践に携わるなどの活動もしています。

これらの会派の様々な活動は、弁護士会の会務や政策に直結する活動であり、特に、会派の政策団体としての活動や人事推薦団体としての活動が機能しなければ、弁護士会の運営や会務の執行にも支障が生じることは明らかです。その意味では、弁護士会内の会派は弁護士会の運営や会務の執行を支えているのであって、いわば、会派は弁護士会自治を下支えしている役割を担っているともいえるのです。

3. 当然に法曹親和会も、東京弁護士会内の会派として様々な活動を通して、弁護士会自治を下支えしている重要な役割を担っている訳ですが、東京弁護士会内における会派としての法曹親和会の立ち位置を考えてみた場合に、現状で良いとはとても言えるものではありません。確かに、法曹親和会は約1,800人の会員を擁する東京弁護士会内で第2の規模を有する会派ではありますが、人事面において、東京弁護士会の会長を含む役員選出の困難性や、東京弁護士会内および日本弁護士連合会内における法曹親和会の影響力の低下現象も見られるところであり、法曹親和会内部においてもある種の閉塞感が感じられるところであります。

このような現状は、法曹親和会が会派の規模(会員数)おいて劣勢であることや法曹親和会の政策や提言が弁護士会の政策や会務に十分に反映されていないことなどから生じているものであって、法曹親和会としては、今後の会の発展のためには、これらの現状を打開していくことが必要です。

4. そこで、このような現状を打開していくためにも、本年度の法曹親和会の課題(テーマ)を「活力ある強力な法曹親和会を創る」と定め、この課題の下に、3つの具体的な活動方針を策定した次第です。

第3 本年度の具体的な活動方針

1. 「活力ある強力な法曹親和会を創る」を本年度の課題(テーマ)とし、その課題の下での、3つの具体的な活動方針は、まず第1に、法曹親和会内の三会派の協働・結束と親和全期会との連携の強化であり、第2は、会員の増強すなわち新規会員の獲得であり、そして第3は、政策団体としての積極的な活動であります。

2. 三会派の協働・結束と親和全期会との連携の強化

法曹親和会は、東京法曹会、二一会そして法曹大同会の三会派の連合体であって、三会派の協働・結束がなければ法曹親和会としての対内的、対外的な活動は成り立ちません。体内的には、三会派が協力して夏季合宿を成功させるとともに、新入会員に対する研修会や専門分野の研修会を開催するなど、研修にも力を入れ、また、男女共同参画サポート体制の充実化を図り、対外的には、本年度は東京弁護士会の役員人事についても選挙が予想されるところから、なによりも三会派の協働・結束が求められるところであります。

また、本年度は、特に親和全期会との連携を強化したいと考えております。親和全期会は登録15年未満の若手弁護士を会員とする法曹親和会内の会派ですが、既に、その会員数は法曹親和会の会員の半数を超えるまでになり、親和全期会との連携なしには法曹親和会の活動もない、と言っても過言ではありません。しかも、親和全期会の近年の活躍は目覚ましく、他会派からの評価も高いものがあります。本年度の法曹親和会は親和全期会との連携をこれまで以上に強化し、親和全期会の活力を法曹親和会へ注入し、法曹親和会の活性化を図りたいと考えております。そこで、法曹親和会は法曹全期会の活動に全面的に協力し賛助する考えであり、親和全期会の企画や活動に対して財政的にも支援する予定でおります。

3. 会員の増強(新規会員の獲得)

法曹親和会が弁護士会に対して政策を提言し、人事における推薦などの活動をするにあたって、一定の限界を感じ、ある種の閉塞感を覚えるのは、その原因の一つが法曹親和会が規模(会員数)において劣勢であるからであるという点は否めないところであります。このような状況を打開するには、会員の増強すなわち新規会員の獲得しかありません。

そこで、本年度は法曹親和会の各会派において各30人の新規会員の獲得を目標に会員の増強を図っていただきたいと考えております。当然に新規会員を獲得するためには各会派が会派としての魅力がなければなりません。本年度は、各会派の魅力作りのための原資として、各会派の法曹親和会への分担金を50万円減額することにいたしました。その原資を利用して新規会員の獲得のために活用していただければと考えています。

また、新規会員の獲得のためにも、親和全期会との連携も重要です。親和全期会推薦の新入会員クラス担任やチューターを通して、無所属の新入会員の会員化を図るなど、親和全期会の協力も不可欠です。

4. 政策団体としての積極的な活動

本年度は、政策団体としての取り組みをさらに推進していく考えです。前年度の植草執行部は、政策の重要課題を政策小冊子として発行し、政策綱領はウェブ版として法曹親和会のホームページに掲載されましたが、本年度もそれを踏襲し、政策の重要課題は政策小冊子として発行する予定です。現在、弁護士および弁護士会が直面している問題や課題は、重要なものだけでも、現在の国会で審議中の刑事訴訟法等の改正に対する対応、違憲の疑いのある安全保障関連法案や憲法改正問題、民事司法改革そして若手会員支援や法曹養成問題等々多岐に亘ります。これらの問題や課題に対しては、法曹親和会は、適宜、意見を表明し、政策を提言するなど、政策団体としての活動を積極的に取り組んでいく所存です。

第4 本年度は、「活力のある強力な法曹親和会を創る」を課題(テーマ)として、来年度には70周年を迎える法曹親和会の発展のために、執行部は全力を傾注する決意ですので、法曹親和会の会員の先生方におかれましては、本年度の執行部に対してご支援ご協力を賜りますようお願いする次第です。